平成26年3月21日  労働者派遣法が改正される。

今国会に労働者派遣法が改正され、平成26年4月1日施行の見通しとのことです。
主な見直しは今までソフトウエア開発や通訳など専門職には労働派遣は期間制限なし、一般職の場合は最長3年の期間制限がありましたが、その垣根が取り払われ、業務を問わず最長3年までとするとのことです。
1985年に労働派遣法が制定されましたが、私は当時からこうした制度に大いに疑問を感じていた1人です。
一体、労働・職業というものを人間社会のなかでどう位置づけしているのでしょうか?
労働・職業こそが一人ひとりが自分の専門職を通じてお互いに人間社会に貢献し合えるという神聖なものであるはずです。そして職業とか労働こそが人生のなかで命をかけても惜しくないものへの出会いをつくり、お互いが進化していくべきものであり、人間社会が豊かに発展していくのではなかったのでしょうか?

働き手は労働時間の切り売りとして賃金を得る、その斡旋業者がピンハネで巨額の利益を上げる。という構図。
働き手は一生パートや日雇い労働者のような分けの判らない不安定な身分で一生を送る。
正社員にあぶれた働き手は派遣会社に登録しておく。運の悪い若者にとって夢も希望もない人生となってただ年齢を重ねる。
戦後日本経済を生き抜いてきた人間には考えただけでも恐ろしいです。

19世紀の哲学者テンニースが唱えたゲゼルシャフトに相対する利益共同体・ゲマインシャフトは、そこに属する人間はすべて同じ方向を目指していなければ発展し得ないと言いました。
同じく19世紀の社会学者マックス・ウエーバーはその著書「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で資本主義を発展させた原動力はカルヴィ二ズムにおける宗教倫理によるとしました。彼は当時、企業の実態ををつぶさに研究・比較検討しました。成功している企業経営者は皆プロテスタントであったことに注目したのです。
職業は神からの授かりものとの、職業についての哲学をしっかり持って経営をし、従業員を引っ張ってきたと考えたのです。

私は労使関係に特別の思い入れがあります。
それはもう50数年前のこと、私が学生時代にもかかわらず、父の病気入院中で労使交渉の矢面に立たざるを得なかったことです。
当時わが会社でも従業員が総評系の労働組合の組合員になり、横尾分会が結成され、賃上げは言うに及ばず、物価手当、勤務手当、出勤手当、などなど次から次へ要求を突き付け、従業員は赤ハチマキを巻いて仕事に従事、労働組合上部団体オルグとの毎晩の徹夜交渉が続きました。そしてスト権を確立宣言されストに突入・・・といった苦い経験があるからです。
当時の労働組合は会社が賃金その他労働条件を有利にするためには、会社は潰れても良いと公言しながら団体交渉に臨んできました。
まず合板の永大、製材の横尾を潰せと、電柱に赤い字の張り紙が並びました。
眞昼間から総評の宣伝車がスピーカーでがなり立てていました。
戦後のほとんどの経営者は多かれ少なかれこういう経験を持ち、労働組合に会社をつぶされた町工場経営者も数知れない状態でした。

このような経験のある私にとっては、労働派遣法の誕生は当たり前の結末のように思えます。
しかし、しかし、当時の人間にはいささか恨みを持ってはいますが、今の若者とは別人です。当時あれだけ痛めつけられても、やはり職業というのは若者に夢を与え、夢を実現させ、生き甲斐を感じさせる場でありたいというのが私の願いであります。

一方、近頃の若者は定職につくのを嫌うと聞きます。適当なアルバイトで生活できるからでしょう。
自分の職業をフリーターと平気で堂々と自己紹介しています。
フリーターとかニートとか定職につかない若者が増加している。戦後教育の誤りのつけが、社会を蝕んでしまっている。と、ぼやいているのは私だけでしょうか。




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