平成25年10月24日  オール75歳の合コン

今から6ヶ月前の春に精道小学校昭和26年卒業生の同窓会が芦屋市・ホテル竹園で開催されました。約130名の卒業生の内何と44名が出席したのでした。
元来、私は人生は後ろを振り向かないで前を向いて突き進んでいくことをモットーとしていましたので、同窓会などの種の会合には遠慮しておりました。
しかし年齢も年齢、その上お誘いの電話も戴くし、「では、一度出席してみよか!」ということになり、出席させていただきました。

宴もたけなわになったところで、女性軍が次から次へワインのボトルを片手に、「横尾さん! 私よ! 覚えてくれてる?」と声をかけてくれました。
その中に、何も持たずに一人の女性が・・・「横尾くん、私SK子よ。覚えてくれてる?わたしは横尾くんのことよくおぼえているよ!」
「えーっ、えーと…?」「そうや! きみ!」 「いつも学芸会やPTAの会などで一人で舞台で童謡を歌ってたSK子さん???。クラスも別々で同じ学級になったことはないし、第一、君とは一度も話したことないのに…???。ボクのことおぼえてくれてるの? それは嬉しいね。ボクは覚えているよ! 君はボクらの憧れのマドンナやったからなぁ。子供心にお嫁さんには君を! と、ずっと想っていたんやから!」「なんで、それを言ってくれなかったの!、横尾さん」と背中をポンと叩かれました。
あれから70年近く今までの彼女の歩んだ人生を知る由もありませんが、叩かれた私の背中に一抹のさみしさが伝わってきました。
会話途中でまた次の女性が割り込んで来ましたし、「は〜い!集合写真撮りま〜す!女性の方は早く来て前に並んで下さ〜い。」との幹事の声にかき消されて、三々五々散ってしまい、SK子さんともそのままになってしまいました。


さて、同窓生の中に、北新地で上品なバーを過去に経営されていたOE美さんという方がいます。私は彼女とは、当時時々北新地のそのバーを訪ねたことで、年賀状を交わす間柄でした。その彼女から私が同窓会に持ち込んだワインのお礼の電話をいただきました。
「私、時々同年代の女性友達と食事会していますのよ。よろしかったら横尾さん、一度参加しませんか? 若い人ばかりに目が行かないで、たまには熟女もよろしうございますですよ!」「いや〜、男、私一人ではいかにも分が悪いので、同窓生ではありませんが、あなたも良くご存知の、私にとって頼り甲斐のある、博識家、お話上手の先輩Mさんを誘ってみます。」「はい。では私は同窓生でメール交換しているKさんにもお声かけします。」「それだったら20年位前ですが関西電力大阪発電所の副所長として私の会社へ良く遊びにきてくれていたSさんも一緒にお誘いして下さい。」

「それから〜と! 私のあこがれのマドンナだったSK子さんも誘ってみてくれませんか?」「えぇ、えぇ、私もどうすれば横尾さんが喜んでもらえるか考えていました。それには絶対SK子さんをお連れすることと思っていたところなのですよ」

それに、Mさんがお連れした75歳の芦屋令夫人を加え、9名全員参加の75歳合コン食事会が同じ「竹園」で開催となりました。

フランス・シャンパーニュで私が買って持ち帰ったシャンパンMUMNで乾杯。MUMNは日本皇室ご用達銘柄であり、ここのドメインオーナーはかつて藤田嗣治の不遇時代に面倒をみて起居を共にしていたという、日本とは縁の深いワインです。オーナーの自宅隣には藤田嗣治礼拝堂もありますよ。ということを説明させていただき、皆さん「おいしい!」と叫んでくれました。

話題は音楽、宗教、ワイン、など等あっちへ飛んだりこっちへ飛んだり、ヴァイオリニストでもあるKさんが歌うと、乞われてMさんも得意の喉を披露して下さり、大いに盛り上がりました。

私のお隣に座ってくれたSK子さんに尋ねました。「ボクはあなたが70年前に歌った歌のメロディー記憶にありますよ!」 「〜虹のは〜し、タン。タン、タン、タ〜ン〜・・・」
「すいません、それが、私、全然覚えてないんです。」「70年前、聴いていたボクが今もそのメロディーが記憶の片隅にあり、歌っていたK子さん本人が全然覚えていない、不思議ですね」横からMさん「横尾さん、そんなことは良くある話ですよ」

「横尾さん、K子さんに再会された感想は?」「いやぁ、嬉しかったです。ひとつ人生の喉にひっかかっていたのが取れた感じです」
ということで、お開きとなりました。
出席の皆さん有難うございました。


深層心理学では、強烈な印象の幼児体験は、それがそのまま現在の自分の姿を映し出している。とのことです。
ということは、現在、ソプラノ歌手やテノール歌手に来ていただいてパーティーを開催したりしているのも、源流はSK子さんの残像だったんだ、と思います。





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