平成23年10月13日  盟友・JPO株式会社社長・太田勝實さん逝く

大阪木材業界でも小粒ながらもきらりと光る異色の存在であったJPO株式会社社長・太田勝實さん(68歳)が長い闘病生活の末、終に帰らぬ人となってしまいました。

私にとっても盟友ともいうべき存在で、私が出社すると必ず一回は私の会長室に入ってきて木材市況や業界全般の動きなど話題は尽きず、むしろ私は聞き役に回っていました。
JPOさんの事務所を私どもの会社の隣のビルに引っ越してきて、週に2〜3回昼食を共にしました。新田南海男さん、橋口文四郎さん、小山恵弘さんなども加わって商売、ゴルフの話などまさに談論風発の楽しい昼食会でした。

約10年前の腎臓ガンから肺に転移し、本人も年に数回は秋田県玉川温泉に湯治に行き、一生懸命治療に努めていました。
「病院の検査は?」「いや、もう大丈夫。ガンが小さくなっています。」とのことで私もすっかり安心しておりました。
ところが1年位前にどうも背中や腰が痛いということで、精密検査受けたところ、ガンが脊髄にまで転移してしまったとのことでした。
そしてすぐに手術ということになりました。
脊髄ガンの手術は想像を絶する痛さだそうです。手術中はもちろん手術後も1〜2週間は夜も全く眠れぬ位の痛さが続いたと言います。
それに奥さんが数年前、やはりガンで亡くなっておられます。娘さん3人が交代での看病で、何かと不自由な思いをしながら、屈することなく痛さを我慢して病と闘っていました。

「こんな場合 横尾会長ならどうしますか?」
「そんな痛い目に遭いたくない。間違いなく死を選ぶなぁ〜」
「いや〜自分は苦労してやっとここまで経営が安定させたばかりで、まだまだやり残したことがいっぱいで、まだ死ねません。」

とにかく彼の木材経営も、同業他社(わが社も含め)と同じく、ご多分に漏れず相当な苦労の連続だったと思います。それを持ち前の明るさと馬力と商才で何とかここまで軌道に乗せた矢先です。
本当に無念なことと思います。

彼の闘病生活の最後の3ヶ月は浜寺にある「エテナテレサ」という素晴らしい介護施設にお世話になりました。ここはとてもゆったりとしたリゾートホテルのようなホスピス兼介護施設兼病院で、とても快適な病院生活を送ることができたと思います。
そして何より院長さんはじめ医師・看護士・介護士が自分の寝食を忘れて看護されているその姿、親切さに私はお見舞いにあがる度に感心・感動していました。
太田さんの最後の人生をここで過ごすことができたのは、せめてもの救いでした。
お通夜には20数人の看護士や介護士の方が参列されていましたが、その行き届いた礼儀所作も私にとって感動的でさえありました。

お通夜の席をおいとまし、ふと空を見上げると満月でした。


 
覚悟して 迎へしはずの かなしみに 涙でくもる 浜寺の月


お葬式はご遺族のご意向で家族葬で、ということでしたが、縁ゆかりのあった方々が多数人づてに聞きつけ、かけつけて来られ、皆さんでお見送りしました。
合掌



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