平成23年6月30日  経営を考える(1)

念のため申し上げておきます。私のひそかな命題・願望であり、少しでも近づきたい目標でもあります。


  (1) 会社経営では目前の景気の波や会社の業績に一喜一憂しないことです。信仰を持たない人でも、経験の深い、練達の経営者は、常に大きな展望を持ち、長期的視野に立って判断している。慌てふためいたり、有頂天になったりしないものです。
考えてみると、この世の中のありとあらゆる現象は「波」によってできているといっていいと思います。月の満ち欠け、四季の移り変わり、人間の呼吸や心臓の鼓動からすべて波リズムでないものはひとつもありません。
仏法の信仰者は「諸行無常」(すべてのものは変化する)という真理を知っています。

われわれの実人生にもこの真実を大きな目で達観し、低い谷に来たら静かにその動向に身を任せで、じっと次の波の高まりを待つ。そして波が高まってきたら、敏感にその動きをつかんですばやく乗る。

そして順調に進みだしても、けっして有頂天にならないことです。次の波動が待っており、経営の足を引っ張る要素が水面下でどんどん蓄積されていっているのです。
私の造語ですが、「変即不変・不変即変」
変化しているように見えますが、実は根底にある哲学は厳として変わらない。一方変化していないように見えても、実は内部では刻々と変化している。



(2) 私たちは絶えず何らかの意志や志を持って生きてゆくことが大切です。物事はすべて志と出会いによって、成ってゆくと言っても良いと思います。志がなければ、すれ違いはあっても、出会いは生まれません。自分がやったように思っていても、案外出会いによって、人からの支えがあってこそのことが多いはずです。
それもタイミングというものが重要です。早過ぎても、遅すぎてもうまくは行きません。
哲学者であり教育者でもあった森信三さんは「人は出会いのために生かされている、と言った方が適切である。その出会いは偶然ではなく時間が経過した後に振り 返ってみると、出会うべくして出会ったと理解できる。出会いによって自分が変わって行くと同時に、自分によって相手を変える立場になっている事実も見落と してはならない。」また「縁は求めざるには生ぜず。内に求める心なくんば、たとえその人の前面にありとも、ついに縁を生ずるに至らずを知るべし。で求める心がないと縁は生じない」とも言っています。
企業の発展はまさに「良い企業」と巡り合うことです。
企業は「出会い」と「選択」と「決断」ではないでしょうか。



(3) 成功する企業に共通するのは熾烈な競争のなか、競争のルールを大きく転換し、変化を創りだしていく「攻めの経営」をしています。
反対に敗者の多くは経費の削減やリストラにこだわり過ぎているように思います。「守りの経営」を徹底させて実行したとしても、構造的変化を見せる経営環境の中では、リストラがリストラを呼ぶだけで、決して成功せずにやがては消滅しまうのではないでしょうか。
もう見込みがないと判断したら傷が浅いうちに全面撤退すべきなのでしょう。



(4) 松下幸之助はかつて経営者に大切な要件は七つあると言っていました。
「一番目に大事なのは、時代を読む力や。いまは昔のように会社の中だけしっかり見ておるだけでは駄目や。
会社の内も外もしっかりと目を凝らし、できるだけ先を読んで、できるだけ早めに体制を整えるということが大事になってきた。
二番目は決断する力を持っておることや。ある問題に対して決断をせんかったら、すぐに混乱してしまってどうにもならなくなる。しかも決断は早くないといかん。
三番目はどれだけ知恵を集められるかや。
情報を集める力があるかどうかということやろな。そのためにも経営者に知恵を集める姿勢と心構えがないといかん。
衆知を集めるということや。しかも集めるだけではいかんし、いい情報を見分けるだけでもあかんな。情報を組み立てて、新しい創造的な知恵を創りだすかどうかが求められるわけや。
四番目は行動力や。目まぐるしく移り変わる時代の中で、経営者の一番の競争相手はライバルの同業他社ではなくて時間や。
時間と競争ということになる。いかに早く行動するか、できるかということが勝負の分かれ道になってくる。
五番目は体力というか健康であるということやろな。
これからの経営は時代の流れに合せようとすれば当然激しい動きになるし、そうした会社の動きに即応できるような体力、健康がないと、これからの経営者は勤まらんね。
六番目は夢があるかどうか、明確な理想を持っているかどうかということやな。
そして最後が、何といっても人柄や。結局はこれに尽きるといっても構わんほどや。まず、温かい心、思いやりの心を持っているかどうか。
それから誠実でないといかんな。
堂々としているということも大事なことや。部下の失敗をわが失敗として堂々責任とっていく。度胸をきめて、わしに任せておけ、心配するな。あとは引き受けてやる。というぐらいのことが言えるようでないといかん。
これからの経営者は哲学があって、知恵も出し、迅速に動き、人柄もよくないといかん。
いわば活動する哲人や。大変やけど、経営者の立場の立った人はこういうことを心がけ、努力せんといかん。これがかなわん、大変やというならば、経営者を辞退せんとあかんわ。」



  (5) 「事業は、儲けようという気持ちが強くては駄目だ。自然にもうかるようにならなければならない。自然にもうかる正業こそが本当の事業なのである。」

市村 清



  (6) どんな事業にも危険は伴う。これをいかに克服するかという点に経営者としての手腕がかかっている。危険を恐れては経営はできない。

太田 垣士郎



  (7) 従業員が安心して生活のできることなくして社業の繁栄はありえない。社業の隆盛なくして従業員の幸福もあり得ない。経営者の責務は働く者の生活に責任を持ち、会社を育て、それを次の世代に渡していくことである。

大槻 文平



  (8) 社長が営業の超改革にどれだけエネルギーをかけたかで勝負は決まる。そしてそれを実行した企業のみが生き残れる。今こそトップの強力なリーダーシップが絶対必要である。



  (9) 経営者の必要条件

「洞察力」 時代の流れを読み、自社の進路を見極める。

「決断力」 経営上の選択に関して毅然とした態度で、的確な意志決定を行う。

「統率力」 経営上の目標の効果的達成のために、組織力を結集・動員する。



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