平成23年5月9日  東日本大震災により住宅産業も景気低迷

東日本大震災は、わが国の経済に深刻な経済低況感を蔓延させています。
生産の落ち込みから雇用の減退、種々イベントの自粛、物品購入意欲の減退、外食の手控えなどから、廻りまわってわが社の木造住宅プレカット工場の受注状況も低下してきています。
消費者マインドが萎縮し、消費行動を鈍らせれば、結局それが廻りまわってまた自分にはね返ってくることになります。
節約の美徳哲学が現代の経済社会に必ずしも適用しないのであります。国民全員が身の丈にあった消費行動を取って、経済社会を回転させていくことが、わが国経済を活性化させ、海外との競争力を強化します。節度ある通常の消費行動が、このたびの大震災の復興にもどれだけ必要であるかを認識する必要があります。
特に衣食住については消費の基本になるものであります。

その中で一番後回しにされそうなのが住宅消費です。しかしまたそれだけに住宅消費を刺激すると景気浮揚策として最も効果があるのが過去の経験が物語っています。
この際一段と住宅建設を、中でも国産木材を使った木造住宅の建設促進の刺激策を是非政府に望みたいものです。
現在日本の山林は戦後植林された杉およびヒノキが手入れされずに放置されたままです。そして毎年春になると花粉を撒き散らし、国民は花粉症に悩まされ続けています。
また放置されているものですから、山林は荒れ果て、竹などが浸食していっています。
これらの立木を一旦伐採し、古来から生育していた広葉樹林や針葉樹林に戻す必要があります。広葉樹林が多くなることで山の保水力も増します。
あちらこちらで散見する山村地域での木造住宅の建築現場でも、現場のすぐ裏にはりっぱな杉が生えているにも拘わらず、遠くヨーロッパのフィンランド、ノールウェイ、ドイツ、オーリストリアや北アメリカ産の木材が使われているという不思議な光景に出会います。

一体どうしてこんな現象が起こるのでしょうか?
色々な原因が考えられます。


  (1) 日本の林業に携わる人が高齢化してしまい、若い人は伐採など林業に携わることを嫌がり常に労働力不足になっている。

(2) 日本の山林は急傾斜地が多く、伐採費用コストが高い。海外の伐採は機械化が進み、且つ人件費が安い。

(3) 林業経営ともいうのは長年の期間サイクルで成立し、植林から伐採まで長期間に亘り、下刈り・枝打ち、間伐など費用ばかりかかり、収入がない。孫の世代のために植林するという発想が現代では通用しなくなっている。

(4) 海外の林業国の造林・生産システムが合理化されており、価格が安いし、価格が安定している。しかも品質は極めて安定している。のに対して日本の木材の流通システムは市場のセリで成り立っており、注文が増えるとたちまち価格上昇し、しかも供給が細る。需要者は安心して国産材を使用できない。

(5) 日本の山林は傾斜地が多く、そのため木材内部の品質が一定ではなく、アテなど多く、柱だけでも毎月一万本以上使用する中堅プレカット工場にとっても、決して使い易いものではない。その上、経済産業省の定めた住宅品確法により、平易に言えば、建築後10年経過するまでは二階の床にゴルフボールを置いて動いては建築会社の瑕疵責任となるという、本来の木材の特性までを見殺しにしてしまう法律が施行されたのも国産材を敬遠する要因になっている。

(6) 住宅に最も多く使用される主力樹木種「杉」は外国産木材に比べて強度が弱いという事実です。
これは杉そのもののセルロース(繊維)が短いことに起因するようです。
木材の強度はヤング係数で表しますが、集成材強度試験でヨーロッパ産のホワイトウッドやレッドウッド、北米産の米松がE120から150であるのに対して、日本産の杉はE85から90しか出ないという事実があり、耐震上使いにくい欠点となっています。

(7) 海外の木材生産工場はそれぞれ自家発電設備を保有し、おが屑や廃材で発電している。そしてその国のエネルギー政策により国が余剰電力を一般の市場価格の数倍で買い上げて、林業を保護していく政策をとっており、木材生産工場の競争力を強化しているのが実情である。



去る4月15日夕方、大阪リーガロイヤルホテルで自由民主党・石破茂政務調査会長と大阪木材業界十数名との懇談会が催されました。
石破さんは農林水産大臣も経験されただけに、木材産業のことも住宅産業政策のことも詳しく、「これからは木造建築物が主流になる。内閣府の調査では木造住宅に住みたいと答えた人は 84%、在来軸組工法住宅に住みたいと答えた人は全体の62%に達している。
大いにこのニーズを汲み上げて、日本林業、木材産業の活性化をはかり、日本の国土保全循環型経済社会の形成に寄与して欲しい。自由民主党としてどのようなことでもやりますから。」という力強い言葉を聞き、われわれは大いに勇気づけられました。
「民主党・管内閣の一番いけないところは、数十万人の専門家である官僚を使おうとしないことです。」と言っていましたが私も同感です。
石破さんには初めてお目にかかりましたが、誠に謙虚な人柄で、わが国の国防政策やエネルギー政策など正論を述べ、バランス感覚に優れた数少ない政治家。「この人に日本の政治を任せたい!」と思いました。

わが国の林業の抱える問題点はまだまだありますが、プログですので思いつくままに書いています。また思い出したら追加もします。皆さんもメールでご教示下さい。



目次へ戻る





E-Mail
info@fuyol.co.jp


ホーム 在来工法プレカット 金物工法プレカット 特殊加工プレカット 等 耐震門型フレーム 等
地球温暖化と木材 健康と木造住宅 会社情報 お勧めリンク 横尾会長の天地有情
当社プレカットによる施工例写真  社員のブログ天国