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人間にはいろいろ、さまざまな型がある。何れにしてもほんものはその道その道でそれぞれ、自らの最善を尽くして進むが、しかし、そこにはただ論争のための論争のようなみみっちさはなく、自らに与えられた天来の無限の可能性を活かして目的達成に猛進するのである。その活躍には常に喜びがあり、希望があり、祈りがある。
そこにあるのは他人との競争などというよりも、むしろ時にひるまんとする自分自身
とのたえざる闘争があり、競争がある。かくしてみずからの仕事によって真に自らを活かし、社会を生かし、そこに.人間としての大きな生きがいを感ずるのである。
私はこの88年間、大体そんな気持ちで生きてきた。北国生まれの生来ののろさで、私は生涯自信などというものを持てず、とぼとぼと歩いてきたが、それだけ常に文字通り全力投球で、自らと戦ってきた。
ただ有り難いことに、お人好しの私は、しくじっても、しくじってもそれほど腐らず、いつも希望に燃えながら生きてきた。
私の生涯はある意味では失敗の連続だが、私はそれを後悔せず、むしろ面白い人生で あったと、懐かしくそれを思い出している。(平澤 興) |
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