「台湾は中国の一部」を論破する

ペロシ米下院議長の訪台を受けて、中国は台湾に対し8月前半に激しい軍事的な威嚇を行った。中国の攻撃的な姿勢は予想できたが、このことは私たちが中台関係への理解を深める必要性を改めて促している。

中国側の主張によれば、台湾問題とは「統一」問題。台湾は中国に帰属するというわけだ。だが、むしろ問題は中国の自己認識にあるように思える。中国は2000年以上にわたり、全ての王朝・時代を通じて統一問題に苦しみ、領土的野心を実現できないことのほうが多かった。それはなぜか。

著名な歴史家の葛剣雄(コー・チェンション)に『統一と分裂―中国史の啓示』という著書があるが、東周時代の始まり(紀元前770年)から1998年までの2768年間で、中国全土がいた時期はわずか952年、全期間の34%でしかない。

しかも葛によれば、中国が統一を達成したときや領域を拡大したときも、それはたいてい軍事的な力によるものだった。漢民族には団結するほどの一体感がないことが多く、異民族との間にはもちろんそんなものは存在しない。

これは世界史における、帝国の一般的特徴だ。ただしポルトガルやイギリスなど歴史上の他の帝国は、より民主的で自由な体制に移行したが、中国はそうならなかった。そのため表面的な統一を達成した後も、今のチベットや新疆ウイグル自治区で見られるような力による支配が続いている。「統一」は、常に中国が自らつくり出してきた自縄自縛の難題だ。

しかし、中国共産党の台湾に対する主張は、全くひどいものだ。実際には、共産党はいま台湾を支配していないだけでなく、過去に支配したことさえない。

国際司法裁判所(ICJ)は領土問題の裁定の最重要原則として、現在または歴史的な「実効支配」の有無にしばしば着目する。それに従うなら、中国の台湾の帰属に関する主張の正当性は、例えばオランダよりも弱い。

その理由は、歴史をたどれば明らかだ。もともと台湾には、歴史的に中国と接点を持たない先住民などが居住するだけだった。そこへ17世紀にオランダ人がやって来て、38年にわたり苛烈な植民地支配を行った。

その後、台湾には4つの勢力が侵入した。鄭成功が率いる明朝遺臣団の漢民族(22年間)、清朝の満州人(200年以上)、そして近代国家としてインフラや教育を整備した日本(50年間)、第2次大戦後は蒋介石の中華民国が支配することになった。

最初に台湾を実効支配した部外者はオランダ人で、最も長く統治したのは満州人、現在の占領者は中華民国だ。そうなると、そこに中国共産党が入り込む余地は極めて小さい。

第2次大戦後のサンフランシスコ講和条約で台湾の地位が曖昧なのは、この複雑な歴史に負うところが大きい。この点が、現在のアメリカの台湾政策の基礎を成している。条約は中国の主張する「一つの中国」を認めながら、台湾は中国の一部ではないという可能性に含みを残している。

中国は自らの主張の根拠が弱いことを承知しているので、国際秩序を逸脱した行動を取り、力によって台湾を併合する準備を常にしてきた。

台湾が中国から政治・社会的に分離するプロセスについて考えるとき、18世紀にアメリカの13州がイギリスの圧制から血なまぐさい戦争を経て独立した経緯に学ぶことが適切だろう。台湾の人々がこの歴史をなぞることを選ぶなら、国際社会はそれが平和裏に行われるよう監視すべきだ−可能かどうかは心もとないが。

練乙錚(リアン・イーゼン)・佐治成男

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