私の闘病・歌日記から

あけましておめでとうございます。私の人生も7週目に入りました。わたしの人生・・・最大の出来事といえば、やっぱり4年前の頭部内出血(慢性硬膜下血腫)による8時間半におよぶ開頭手術を受けたことです。
平成17年10月15日、自宅で軽い頭痛とともに、突然手足がしびれて麻痺し、体は動かなくなり、激しい嘔吐を繰り返した。意識もあやしくなってきた。

ゆくりなく 手足はしびれ 芋虫に
必死で這はむ 携帯のもと

救急車 このわれを乗せ 走りゆく
わが玉の緒は 絶えむとするか

横尾さん! 明るい声に 目覚めけり
ここはいずこと 思ひめぐらす

麻薬効き あの世この世も 分からずを
吾はいく時  さまよひけるや

退院帰宅してから、風邪発熱のようなだるさ、そしてふらつき、頭全体の耳鳴りが波状的に襲う症状が毎日続きました。寝てもしんどい、起きてもふらつく。

ふらつきて 夕餉もできぬ 暗き夜を
響す耳と 夜を明かしつつ

ふみ読めず テレビも見れず 目を閉じて
耐えるばかりか この病ひはも

病み臥して すべなく耐へる まくらべの
山川登美子の うたぞかなしき

「おっ、横尾君、君も与謝野晶子より山川登美子の方が好きか?わしもや!」
孤高の歌人・前登志夫先生が思わずにっこりされた。

平成17年11月初出勤

わが車 朱の大橋 越えゆくば
なつかし小船 筏曵く見ゆ

ぐるぐると 包帯巻きし 頭みて
社員おもはず 息のむを見る

平成17年12月 依然としてしんどい。

い寝がてに わがものおもふ こと尽きて
われはかへりぬ 幼き日々に

実は幼き頃、芦屋の浜で海水浴中、急に潮が満ち波が荒れ、溺れかけて居合わせた西洋人夫婦に危うく助けられたことがある。どんよりした曇り空の肌寒い朝、ふらふらと芦屋浜に出かけました。

まなかひの 芦屋の浜は 変わり果て
わが遊びし日 偲ぶすべなく

むかしわが かよひしうみの おもかげを
もとめてきかむ  きしのしほのね

深江の沖には黒色にくすんだ艀が数十艘不気味に浮かんでいる。

ちぬうみに たゆたふはしけ 冬空に
影さへ重く ひとり見るかな

脳外科通院、経過観察、デパケン処方。

脳外科に 居並ぶ人みな ちからなく
病みの重きを しのばるるかな

平成18年 新年を迎えて。

静やかに 今年も春を 迎へけり
庭に降り来る ひよどりの声

いたづきの 身をばわすれて ぶだうしゅを
としのはじめと のみほしにけり

しきしまの やまとごころと 初春に
堀辺でみなと をたけびをあぐ

平成18年2月

ちらちらと 雪屑舞ひたる さ庭にも
春はせまりぬ うぐひすの声

平成18年4月 病後初めて宝塚ゴルフ倶楽部へ!

やふやくに 春風なごむ 宝塚へ
ひさびさにきく ともがらの声

みずみずし 緑の木々も 芝草も
クラブ片手の 友の笑顔も

芝草も 木々も緑の 色まして
幸せかみしめ われは球打つ

よきことも ほしきものを なくなりぬ
おもき病ひを わずらひてのち

足を止め 桜吹雪に 見とれつつ
なほわがつまに しくものぞなき

平成18年5月 新コース4番、深谷池にはいつもの鵜の鳥がいました。

大池の 杭のま先に 鵜の鳥の
水面にうつる 影ぞ哀しき

誰が願ひ 何を頼みて 生まれけむ
幼き顔の 石のほとけは

平成18年5月 リッツカールトンホテルで友人の皆さんで全快祝いして下さる。テノールの大御所田原祥一郎先生も駆けつけて下さいました。

わが病ひ 癒へし祝ひと ともがらと
集ひて聴かむ ソプラノの歌

青年の 心でいませと 励まされ
サムエルウルマン 吾に蘇る

ながために こゑのかぎりと メールきて
ホールに澄まむ ソプラノの声

平成18年7月 出勤予定を変更、京都へ。
京都国立近代美術館・藤田嗣治展鑑賞。

描かれし ほの白き裸婦 その色に
パリの絵師は 驚きにけむ

音にきく 嗣治の画 いままみゆ
白き肌色 これにしありけり

近づけば 筆のびやかに 塗りうすく
また戻りきて われ眺めいる

平成18年10月 吉田恭子さんとヴァイオリンコンサート・フェニックスホール。

ちちははの 愛がありてと 目をとじて
祈りの曲を ひたすらに弾く

打つ雨を そがひにし弾く ノクターン
音色のすえに 母はすはりて

つぎつぎと 奏でる音色 うつくしく
何を想ひて われ涙出る

平成18年10月 手術後一周年。妻と東北の旅。
八幡平にて

夕映へて なほ赤染し むらやまの
渓谷の底ひに 湯けむりの見ゆ

黄赤と いろ鮮やかな 山々の
空の高みに うろごくもゆく

うつつとも おもへぬいろに かがやけど
やがてはさみし みちのくのやま

玉川温泉にて

わずらひて すがるおもひの 人あまた
来たり湯治す 玉川の湯に

むしろ敷き 温泉岩に 腹ばひて
重き病ひを 湯治す人ひと

岩盤に 肌もあらは二 老ひしひと
今日も暮れゆく 湯けむりのなか

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