2021年1月12日に国王アブドラより、マレーシア全土における非常事態宣言が発令された。
全土に対する非常事態宣言は、1969年以来2回目となる。1969年と言えば、マレーシア史上最悪の事件と言われる5・13事件である。多民族国家であるマレーシアでも、当時は、マレー系、中華系での格差が社会的な問題となっていた。1969年5月10日に行われた総選挙の結果にて、両者の対立が起き、死者196人の犠牲者がでた暴動であった。その後21か月間政府機能が停止した。
非常事態宣言中は、基本的には議会・総選挙は行わないとされている。
今回の宣言は、2021年1月11日から8月1日。現在の政権与党の時間稼ぎとも言われ、与党がコロナを利用して延命を図ったのだという。解りやすいと言えばそれまでであるが、何ともけしからん政策でありこの点ではかなりの不評をかっており、市民の支持率を大きく落としたとも言われている
※マレーシア13州「知ってる?」:
さて、マレー半島全州と言われて、即座にすべて言える人は、かなりのマレーシア痛。 今回は、マレー半島にある州を簡単に紹介したく。 マレー半島には11の州と2つの連邦直轄領がある。そして9つの州にスルタン(首長)がいる。そしてこの9人のスルタンの輪番制で国王が選出されている。
- ・ジョホール州・・・
- マレー半島の南端にある州で、ジョホール海峡を挟んでシンガポールと隣接している。州都は、ジョホールバルで、サッカーW杯予選での“ジョホールバルの歓喜”が馴染み深い。
- ・パハン州・・・
- マレー半島の州で一番面積の広いマレー半島の中心に位置している。マレーシアで唯一の公認カジノである。“ゲンティン・ハイランド”がある。州の大半は、熱帯雨林に覆われている。首都はクアンタン。
- ・ムラカ州(マラッカ州)・・・
- マラッカ海峡の語源となる、マレーシアでは、歴史の古いムラカ王国が起源の州である。マレーシア料理の一つであるニョニャ料理の発端である。
- ・ヌグリ・スンビラン州・・・
- 首都クアラルンプールの南に位置する州である。ヌグリ・スンビランの意味は九つの州という意味である。元々9つの地域により、構成されていたという。
- ・セランゴール州・・・
- 首都クアラルンプールを取り囲むマレー半島西側の州。マレーシアの国際空港であるKLIA、KLIA2と、かつてF1が開催されたセパン・サーキットもセランゴール州である。マレーシアで一番有名な貿易港のポートケランもある。このケランは、肉骨茶(バクテー)の発祥と言われている。(シンガポールが発祥との話もある)
- ・ペラ州・・・
- マレー半島西海岸北部にある州、州都はイポー。イポーは錫(スズ)鉱山で発達した都市である。そのようなことから、華人が人口の7割ほどを占めており、広東と客家の華僑で発達したマレーシア有数の都市である。
- ・クランタン州・・・
- マレー半島東海岸北部にあるイスラム色が濃い州である。州都はコタ・バル。ケダ州・トレンガヌ州も同じであるが、イスラム教の礼拝が金曜日にあるので金土が休日で日曜日は平日扱いとなっている。
- ・トレンガヌ州・・・
- マレー半島東海岸でクランタン州の隣に位置するこちらもイスラム色が濃い州である。州都は、クアラトレンガヌ。過去、当時にユアサの合板工場が有った地。
- ・ケダ州・・・
- マレー半島西海岸北部に位置する州で、マハティール元首相の出身地として有名である。タイ王国と隣接しているので、タイ人も多い。州都は、アロースター。昨年上映のコンフィデンスマンJPロマンス編の舞台になったランカウイ島は、ケダ州にある。
- ・ペナン州・・・
- ケダ州の西側に位置するペナン島を中心とする州である。リゾートとしても有名で、世界遺産に登録されたジョージタウンは、古い街並みの雰囲気を残す人気スポット。通常時は日本からのペナンへの直行便もあるマレーシアで2番目の都市である。
- ・プルリス州・・・
- マレー半島最北端の州であり、人口20万人ほどの一番小さい州である。州都はカンガ―。稲作がメインの産業でもあり、元々はケダ州の一部であった。
番外編として連保直轄領も簡潔に紹介したい。
- ・クアラルンプール・・・
- 東南アジアにてシンガポール・バンコクに続く世界都市である。2020年世界都市総合ランキング(森記念財団調べ)では38位の結果であった。世界で一番高いツインタワーであるペトロナスツインタワー(452×2)はクアラルンプールの一つのアイコンである。
- ・プトラジャヤ・・・
- マレーシアの行政新首都として開発された行政都市である。人口が8万人でそのほとんどが政府機関で働く職員とその家族である。首都のクアラルンプールが過密化してきたことが理由で、マハティール元首相の提唱により実行された。
最後にボルネオ島の2州と1連邦直轄領について
- ・サラワク州・・・
- マレーシア最大の面積を誇る木材業界でも名の知れた州である。
英国人ジェームス・ブルックが建国したサラワク王国が、1963年にマレーシアと合併した。
- ・サバ州・・・
- ボルネオ島北部に位置する州であり、フィリピンとも近いこともあり、過去、フィリピンとマレーシアとの領土問題も起きた。サラワク州と同様に1963年にマレーシアと合併となった。
- ・ラブアン・・・
- ボルネオ島に属する唯一の連邦直轄領。租税回避地(タックスヘイブン)として有名で、日本の占領下では前田島と呼ばれていた。
以上の13の州と3つの連邦直轄領でマレーシアは構成されている。
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